大学の奨学金業務は、学生の学びを支える重要な役割を担っています。特に修学支援新制度は、授業料等減免と給付型奨学金を組み合わせた国の支援制度であり、担当者には正確な理解と適切な対応が求められます。
本記事では、令和8年度の春採用に向けて、制度の基本から実務の流れ、よくある落とし穴まで、現場で役立つ情報を網羅的に解説します。特に混同しやすい「予約採用」と「在学採用」の違いについては、実務上の注意点を交えて詳しくご紹介します。
高等教育の修学支援新制度とJASSOの給付型奨学金とは

高等教育の修学支援新制度とは、授業料等減免と給付型奨学金の2つの支援を組み合わせて行う国の制度です。学校の奨学金担当者は「給付型奨学金申請」と「授業料等減免」の手続きを、主に担当します。
修学支援新制度の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
予約採用と在学採用の違いについて

JASSO奨学金の申し込みは、対象者の属性の違いにより方法が異なります。
予約採用とは
予約採用は、進学前に奨学金の採用を内定させる制度です。主に高校3年生が、高校在学中にJASSOへ申請を行い、進学前の段階で「採用候補者」として内定を受けます。
この内定状態で大学・専門学校などに進学し、進学後に進学届を提出することで、正式に給付型奨学金の支給が開始されます。
在学採用とは
在学採用は、大学・専門学校に在籍している学生が、在学中に申請する制度です。予約採用とは異なり進学した後に申請を行うため、対象者も申請時期も大きく異なります。
予約採用をしなかった新入生のほか、経済状況が変化したことで支援が必要になった2年生以降の在学生などが主な対象者です。
春採用の業務スケジュール
予約採用と在学採用それぞれのタスクを月ごとに一覧にしました。

| 時期 | 予約採用 | 在学採用 | 担当者のチェックポイント |
| 3月 | 採用候補者決定通知の回収・確認予約採用説明会実施・資料配布進学届の提出案内・パスワード配布 | 募集要項の公開・周知準備 | 決定通知に「多子世帯」の記載があるか確認 |
| 4月 | 在学採用説明会実施・資料配布掲示板・SNSで案内学内選考の実施 | 給付型奨学金と授業料等減免は「セット申請」が原則であることを強調する | |
| 4〜5月 | スカラネットでの進学届入力支援 | スカラネット申請の入力支援 | 添付書類(マイナンバー等)の不備チェック学生による入力ミスを未然に防ぐ |
| 5〜6月 | 授業料等減免の暫定処理 | 推薦者名簿の作成・JASSOへ送信(選考ソフトによる) | 経理部署への減免対象者データの受け渡し |
| 初回振込の確認・学生へのフォロー | |||
| 6〜7月 | JASSOからの決定通知に基づき、経理部門と連携して授業料等減免額を確定させる対象学生への還付または徴収事務 | JASSOからの決定通知に基づき、経理部門と連携して授業料等減免額を確定させる対象学生への還付または徴収事務 | 在学採用の場合は、採用の可否決定後に遡及処理が必要不採用となった学生への貸与奨学金案内 |
奨学金担当者は「予約採用により、既に奨学金給付が内定している学生」と「これから在学採用を申し込む学生」が混在していることを意識して業務に当たる必要があります。
修学支援新制度のポイント3選

奨学金担当者と学生とのやりとりの中で、特に気をつけたいポイントについてまとめました。
①給付型奨学金の申請と授業料等減免はセット

修学支援新制度では、給付型奨学金の申請が最初の窓口です。授業料等減免の判定と関連しているため、給付型奨学金の申請が必須であることを、学生に周知しましょう。
「奨学金は不要だけど、授業料等減免のみ受けたい」と勘違いしている学生も少なからずいます。奨学金説明会などで、繰り返し伝えることが必要です。

説明会の欠席者には、アーカイブ動画でみてもらう方法もあるよ
②スカラネット入力の壁
スカラネット(JASSO奨学金申請システム)は、学生自身がインターネット上で情報を入力するシステムです。しかし入力項目が多く、専門用語が使われているため、学生がつまずきやすいポイントでもあります。
さらに世帯構成や家計状況の入力のほか、マイナンバーなどの書類をアップロードする必要があります。慣れない作業に戸惑う学生が多いため、不備がないか担当者がチェックするようにしてください。
特に以下の点に注意してください。
紙の書類をスマートフォンで撮影してアップロードする学生も多いですが、以下のような問題が発生しがちなので注意しましょう。
添付書類について
・画像が不鮮明で文字が読めない
・影が写り込んで内容が確認できない
・ファイルサイズが大きすぎてアップロードできない
・ファイル形式が対応していない
解決策1:「スカラネット入力会」開催
学校のパソコン室を開放し、奨学金担当者が常駐する「スカラネット入力会」を開催することも良いでしょう。その場で質問に答えられるため学生の不安を解消しやすく、入力をスムーズに進めることができます。
入力会に参加できない学生に対しては「スカラネット画面キャプチャ付の入力マニュアル」を渡すといいでしょう。
解決策2:「提出前のチェックシート」配布
入力完了後、学生自身が最終確認できるチェックシートを配布します。以下のような項目をリスト化してください。
☑氏名・生年月日に誤りはありませんか?
☑振込口座は本人名義ですか?
☑必要書類はすべてアップロードしましたか?
☑申請内容の控えを印刷または保存しましたか?
解決策3:丁寧な説明会で、窓口業務の圧迫を防ぐ
修学支援新制度は、家計状況や扶養人数によって支援区分が細かく変動します。そのため説明会だけでは自分がどれに当てはまるか分からない学生が、別日で個別相談に来ることも少なくありません。
なるべく窓口対応の時間が増えないように、説明会の準備は念入りに行いましょう。説明会の後に、そのまま個別質問に対応できる時間を設けておく方法もお勧めです。
解決策4:「FAQ集」の作成
窓口対応の時間を少しでも短くするために、過去の問い合わせ内容などを元にFAQ集を作成しておくと、業務効率化につながります。
【FAQの例】
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父は単身赴任中で、同居しているのは母のみです。この場合の「生計維持者」は誰になりますか?
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父母(2名)です。
- 3人兄弟で、長男が来年就職することになりました。その場合は支援対象外ですか?
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扶養する子どもが2人になるため「多子世帯」としての支援は終了します。来年以降は、世帯所得に応じた支援を受けることが可能です。
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修学支援新制度は、他の奨学金と併用できますか?
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新制度においては、併用を制限していません。しかし他の奨学金の実施団体において併用を制限している場合もあるため、確認が必要です。
まとめ
「高等教育の修学支援新制度」は、給付型奨学金と授業料等減免を両輪にした支援制度で、これからも申請者の増加が見込まれます。奨学金担当者には制度理解に加えて、正確で抜け漏れのない業務運用がこれまで以上に求められます。
春採用を円滑に進めるために、特に次の点を押さえておきましょう。
・予約採用と在学採用それぞれに適した対応をする
・月ごとのスケジュールを把握する
・書類の不備を防ぐため、学生任せにせず担当者もチェックする
・よくある質問(FAQ)を事前に整備しておく
この記事で整理したポイントを押さえることで、春採用業務は効率化できます。さらに応募者情報や学費の管理などをシステムで一元化すれば、職員間の情報共有がスムーズになり、引き継ぎの手間やミスを減らすことが可能です。
修学支援新制度の運用でお困りの際は、ガクシーAgentがサポートいたします。システムでどこまで効率化できるか知りたい方は、お気軽にご相談ください。
既にシステムを導入された学校様のお声については、導入事例をご覧ください。




