
はじめに
日々の奨学金関連の業務で、効率的な業務管理システムの導入は喫緊の課題となっている団体様が非常に増加しているように感じています。弊社では奨学金に特化した事業を推進してきた中で、団体様それぞれに合った適切な管理・運営システム選びが担当者の負担に大きく影響することを実感しています。この記事では、現場で実際に実務を行う担当者の皆様とのお話しから得た知見をもとに、システム選定のポイントと実際の導入プロセスでの注意点をお伝えします。
システム選びの重要ポイント
1. 業務フローとの整合性
同様の課題感をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際の業務の流れとそれに適したカスタマイズができる柔軟なシステムを探すことが重要です。下記は、某学校様から管理運営システムを検討している学校様へ向けたコメントです。

本学では以前、汎用的な学務システムの中で奨学金の管理を行なっていましたが、奨学金特有の審査フローに対応できず、結局エクセルとの二重管理が発生していました。システム選びでは、申請受付から支給決定、返還管理までの一連の流れを自分たちの業務に合わせて調整できるか、実際のデモで確認することをお勧めします。
2. セキュリティ対策
セキュリティ面も最重要な要件の1つといえます。学生の所得証明や口座情報など機微な個人情報を扱うシステムには、階層的なアクセス権限や操作ログの保存など、堅牢なセキュリティ機能が不可欠です。担当者が異動しても安全に運用できる仕組みを重視しましょう。

3. 他システムとの連携性

教務システムと連携できず、成績データを手作業で転記していた頃は本当に大変でした。新しいシステム導入時には、既存の学内システムとのデータ連携について、システム提供側と具体的な方法と仕組みを確認することが重要です。特に年度更新時のデータ移行や学内システムとのデータ連携などがスムーズにできるかどうかは必ず確認したいポイントです。
4. レポーティング機能
日本学生支援機構(JASSO)や財団への報告書等の作成は、奨学金担当者の大きな負担です。
カスタマイズ可能な集計機能があれば、集計作業だけで丸一日かかってた業務がボタン一つで必要なデータを抽出できるようになります。自分たちが必要とするレポート機能が備わっているか、無料のデモなどで実際に操作して確かめましょう。
5. スケーラビリティ
近年では留学生向け奨学金プログラムや併用OKの給付型奨学金などが増加し、差引き計算が発生するなど旧システムでは対応しきれなくなりました。毎年の制度改正や対応規模の拡大にも対応できる柔軟性は、長期運用を考える上で欠かせません。新たな奨学金区分の追加や条件変更が、どの程度自分たちで対応できるのかを確認しておくと安心です。
6. 使いやすさとサポート体制
どんなに高機能なシステムでも、使いにくければ現場の皆様が混乱します。CSチーム(カスタマーサクセスチーム)が、運用開始に向けたオンボーディングや問い合わせ体制などを整えています。また、導入後も継続的なサポートMTなどが受けられるか、問い合わせ対応、操作説明会の有無なども確認しておくとよいでしょう。

導入前の注意点
1. 現状業務の棚卸し
システム導入を機に、長年続けてきた業務プロセスを見直すチャンスです。「なぜこの業務が必要なのか」「このプロセスは簡略化できないか」など、全ての業務フローを一から見直し、現状の課題を明確にしていき、新システムに何を求めるかを具体化していきましょう。

2. 関係者との合意形成
システム導入がうまくいかない最大の理由は、関係者間の認識のずれです。経理部門は費用対効果を、IT部門は技術的整合性を、現場は使いやすさなどそれぞれの業務の視点から考えるはずです。定例会議を設け、各部門の懸念点を洗い出し、優先順位をつけて調整することが重要で、特に日々使う現場スタッフの声は最重要だといえます。
3. 予算計画の策定
導入おける初期費用だけでなく、年間の保守費用、有料オプション費用、サポート費用など、向こう3年間のコストを算出してみましょう。例えば、安さに惹かれて選んだシステムで、後からカスタマイズの追加費用が膨らみ、結局予算オーバーに・・・。といったことも少なくありません。見積もりの詳細を確認し、「別料金」となる項目を洗い出しておくことが重要です。

4. 移行計画の立案
データ移行は想像以上に時間がかかります。特に年度をまたぐ移行では、継続受給者の情報が正確に引き継がれるか慎重に確認する必要があります。

本学では、夏休み期間を利用し十分なテスト期間を設けた上で、10月から新システムに移行しました。繁忙期を避けた移行計画が成功のカギです。
導入後の注意点
1. トレーニングの実施
新システムへの不満の多くは、使い方を十分理解していないことから生じます。運用開始までのオンボーディングや、運用開始後のサポートミーティングを実施しましょう。毎年の人事異動で担当者が変わってしまうことも想定し、誰でも理解できるマニュアル作りと定期的な勉強会が効果的です。そういったサポートがあるかないかは確認しておくと良いでしょう。
2. 段階的な移行

全機能を一度に導入すると、現場が混乱します。我々は最初の半年間は申請受付・審査機能のみを使用し、慣れてきた頃に振込管理、そして次年度から返還管理機能を追加しました。現場のペースに合わせた段階的な移行が、スムーズな導入につながります。
3. 定期的な評価と改善
システム導入はゴールではなく、いわば改善の始まりです。定期的に利用状況を評価し、問題点や改善要望をまとめてベンダーと交渉しています。また、学生からのフィードバックも貴重な情報源です。申請者アンケートを実施し、学生目線での改善点も取り入れています。
4. データバックアップと災害対策
近年自然災害が非常に多く、それに伴いデータ保全の重要性は誰もが認識しているはずです。クラウドシステムであっても、定期的に自前のバックアップを取ることをお勧めします。

貴学では月次でデータをエクスポートし、学内サーバーに保存する運用を続けています。有事の際の業務継続計画も、システム導入と併せて整備しておくべきでしょう。
まとめ
奨学金業務管理システムの選定と導入は、単なるIT化ではなく、業務改革のプロセスです。また、奨学金を活用したい学生との円滑なコミニケーションを取るためにも重要です。現場の声を大切にしながら、業務フローの最適化、セキュリティ強化、データ連携性の確保を総合的に考慮し、長期的な視点で選定を行いましょう。
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