本記事では、地方自治体の奨学金担当者様の業務効率化を目的として、年間スケジュールや業務を進めるうえでのポイントなどをまとめています。
特に担当歴1年未満の新任の方の奨学金に対する理解が進み、日々の業務における不安を解消できれば幸いです。
奨学金とは

地方自治体の奨学金事業を担当することになったけど、何からしたらいいの?

まずは、奨学金の種類について知ろう
JASSO(日本学生支援機構)の奨学金

まず国内の奨学金で主流なのが、JASSO(ジャッソ)の奨学金です。経済的な理由で修学が困難な学生を支援するための制度で、奨学生の8割近くがこの奨学金を利用しています。

JASSOって、どんな団体なの?

JASSOはJapan Student Services Organizationの略語で、日本学生支援機構とも呼ばれるわ。奨学金事業を行う文部科学省所管の独立行政法人よ
JASSOが扱う奨学金は3種類です。
| 給付型奨学金 | 返還が不要な奨学金です。世帯収入や学業成績、学ぶ意欲などの基準を満たす学生が対象となります。 |
| 第一種奨学金 | 無利子で借りられる貸与型奨学金です。学力基準が比較的厳しく設定されています。 |
| 第二種奨学金 | 有利子で借りられる貸与型奨学金です。第一種よりも学力基準が緩やかで、幅広い学生が利用できます。 |
これらの奨学金は併用が可能であり、学生の状況に応じて柔軟に組み合わせることができます。給付型を受けられる学生は少なく、大半が貸与型奨学金を受けることになります。
地方自治体の奨学金

地方自治体の奨学金制度は、経済的な理由で進学が困難な若者を支援するだけではありません。その地域に住んでいる方を対象としている場合が多いため、移住者を集めて定住させるという取り組みとも相性が良い制度です。
最近では地域活性化や、人材確保などを目的とした奨学金制度の拡充が進んでいます。たとえば医療・福祉・保育などの分野で国家資格の取得を目指して養成施設に進学する方を対象に「修学資金制度」と呼ばれる学費の貸付制度が設けられています。
主な対象資格は、看護師・理学療法士・社会福祉士・介護福祉士・保育士など、地域での人材確保が課題となりやすい専門職です。
「修学資金制度」は、在学中の学費や生活費を無利子で貸し付け、卒業後に地域で一定期間勤務することで返還を免除する制度です。ただし資格が取得できなかった場合や、勤務年数が足りない場合には、返還義務が生じます。
「修学資金制度」の目的は、地域に必要な専門職の担い手を育成し、確保することです。そのため対象資格や支援内容は、各地方自治体が独自に定めています。
地方自治体の奨学金は、若者の進学を後押しするだけでなく、地域社会の活性化にも寄与する重要な制度です。
一方で地方自治体の担当者にとっては、応募者からの問い合わせや書類のチェック、学校との連携など多岐にわたる業務が負担になっています。
年間スケジュールと業務チェックリスト


各シーズンで色々とやることがあって、ずっと業務に追われる感じだよ

各月ごとにまとめたので、一緒に整理していこう
4月の業務
- 前年度実績の確認
- 奨学金予算の確定
- 募集要項の改定
- 奨学金の広報活動
- 関係団体への案内
- 奨学金募集サイト準備
- 奨学金の返還管理対応
5月の業務
- 奨学金の募集開始(5/1)
- 奨学金の返還管理対応
6月の業務
- 奨学金応募締め切り(6/30)
- 奨学金の返還管理対応
7月の業務
- 審査会
- 採用・不採用の決定
- 決定通知書の作成→郵送
- 奨学金の返還管理対応
8月の業務
- 奨学金の返還管理対応
- 採用された学生への対応
- 返還免除対象者の勤務実績確認をスタートする場合も
9月の業務
- 学生情報の収集
- 奨学金の振り込み
- 次年度要項の検討
- 奨学金の返還管理対応
10月の業務
- 学生情報の収集
- 奨学金の振り込み
- 次年度要項の検討
- 奨学金の返還管理対応
- 卒業予定者の年限計算(返還開始時期の確定)
- 免除条件(要件)に沿った進路確認
11月の業務
- 学生情報の収集
- 奨学金の振り込み
- 次年度要項の検討
- 奨学金の返還管理対応
- 次年度返還開始者への案内準備(返還開始通知書の作成)
12月の業務
- 卒業生の奨学金返還準備
- 次年度募集に向けた最終確認
- 予算調整
- 奨学金の返還管理対応
- 就業実績証明の確認
1月〜3月の業務
- 卒業生の奨学金返還準備
- 次年度募集に向けた最終確認
- 予算調整
- 奨学金の返還管理対応
地方自治体の奨学金業務は、9月から3月が繁忙期です。
担当者の負担を軽減して業務をより円滑に進めるために、システム導入をご検討ください。
※年間のスケジュールは地方自治体ごとに異なります。本記事で示すスケジュール感はあくまでも一例です。各自治体の年間計画に照らしてご判断ください。
よくある質問

学生とのやりとりなど、実際の業務が不安……

よくある事例をQ&A式でまとめてみたよ
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学生に書類の提出期限を守ってもらうにはどうしたらいい
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募集概要を掲載したポスターやウェブサイトに、提出期限を明確に記載しましょう。電話やメールなどで問い合わせがあった際にも、提出期限を念押しすると安心です。

しーちゃん ガクシーAgentのシステムを活用すれば、アプリで通知がいくので認知してもらいやすいよ
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書類の不備を減らしたい
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必要書類のチェックリストを作成しましょう。ウェブサイトなどに、わかりやすく一覧にしておくことをおすすめします。
また担当者側でも受け取った書類に不備がないか確認するためのチェックリストを準備し、ダブルチェック体制にすることでミス防止につながります。
【 不備で多い事例 】
・記入漏れ
・誤記入
・印鑑の押し忘れ
・必要書類の不足(マイナンバー関連書類や所得証明書類に特に注意)
紙ベースで郵送によるやりとりの場合、応募者への再提出依頼や再チェックに時間がかかります。また学校から推薦状を提出してもらう場合は、学校側との調整が必要になるため、余裕をもってスケジュール管理する必要があります。
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年限計算の業務が大変!効率化する方法を知りたい
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ガクシーAgentのシステムを活用することで、一元管理が可能です。返還免除対象者の進路・卒業の情報や、免除要件などを自動で収集。
複雑な年限計算についてもシステム内で自動で計算・更新されるため、業務効率化につながります。
ガクシーAgent導入の地方自治体様から喜ばれているポイント3選

①チャット機能で連絡が容易に
チャットで保証人登録や督促通知を送ることができます。返還者とのやりとりが容易になり、レスポンスも向上します。
②返還管理機能の活用
複数のエクセルシートで管理していたデータを、入出金管理システムで一元管理することができます。返還時には消込ボタンを押すだけでデータが自動更新されるため、業務効率が大幅に向上。
さらに義務年限計算も同じ画面内で確認できるので、貸与や返還状況など全ての業務をシステム内で完結することが可能です。
※義務年限計算とは、奨学金の返還免除のために特定の場所で何年働く必要があるかを計算することです
③CSVデータの出力
事前情報の入力を行わなくても、欲しい情報を一括または個別で抽出できます。応募機能から入出金管理まで幅広く対応しているため扱いやすく、必要な情報をワンクリックで出力できます。
学生対応のポイント

奨学金業務は、個々の状況に合わせた対応が必要です。学生一人ひとりの家庭状況や学業成績は異なるため、一般的な説明だけでなく、その学生の状況に合わせた具体的なアドバイスを心がけましょう。
経済的な不安だけでなく、精神的な負担を抱えている学生もいるため、共感と傾聴が大切です。
奨学金業務の連携について
地方自治体では、2〜3年ごとに担当者の部署異動の可能性があります。奨学金以外の業務を兼任している場合も多いため、引き継ぎ時に効率的な情報共有を行えるかどうかは大きな課題です。
ここでは、スムーズに引き継ぎを行うための工夫をご紹介します。
①マニュアルの作成と更新
業務フローや各種手続き、学生対応のポイントなどを詳細に記載したマニュアルを作成し、常に最新の状態に保ちましょう。前任者の知見を引き継ぐことで、新任担当者でもスムーズに業務に入れるようになります。
②情報共有の促進
奨学金チーム内や関連部署との定期的な情報共有の場を設け、進捗状況や課題、学生からのよくある問い合わせなどを共有しましょう。
システムを活用し申請状況や学生情報を一元管理することで、情報共有を行いやすくなります。

オフラインとオンラインの両方で情報共有できると、便利だね
法改正・ガイドライン変更への対応


国の制度もどんどん変わっていくので、ついていけるか心配……

情報をキャッチするためのヒントを紹介するよ
奨学金制度は法改正やガイドラインの変更が頻繁に発生します。担当者は、これらの変更に迅速に対応する必要があります。
JASSOの情報を常にチェック
JASSOのウェブサイトや奨学金担当者向けポータルサイトなどを定期的に確認し、最新情報を把握しましょう。

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まとめ
奨学金業務は、年間を通じて多様なタスクが連動しています。特に繁忙期を乗り切るには、年間スケジュールを把握し時間の余裕を持って業務を進めることが重要です。
新任担当者は、わからないことを遠慮せず先輩に確認しましょう。システムを活用することでミスを防止し、業務効率化を図ることもおすすめです。
奨学金業務は、学生の未来を支える重要な仕事です。担当1年目という大変な時期だからこそ、本記事の内容を参考に、自信を持って業務に取り組んでいただければ幸いです。




